1.低血圧の診断基準
高血圧には世界的な判断基準があるのに、低血圧の判断基準は、それぞれの医師や研究者によって意見が違います。それは、高血圧は放置すると、脳血管障害や心臓病を起こすが、低血圧症は基本的には生命への影響が少ないため。どんなに血圧が低くても、めまいやだるさ等の症状が無ければ、低血圧と診断しないという医師もいます。
一般的な低血圧の基準は、安静にして血圧を測ったときの最大(収縮期)血圧が100〜110mmHg以下の場合で、。最小(拡張期)血圧については、60mmHg以下とするものが多いが、高血圧と違って最小(拡張期)血圧についてはあまり重点が置かれていません。また、医師によっては最大(収縮期)血圧が85〜110mmHgである状態を低血圧と判断する場合もあります。
2.低血圧の種類
・本態性低血圧
これは原因が明らかでないということです。特別な原因がなく、血圧だけが常に低い状態が本態性低血圧、いわゆる低血圧体質です。産まれつきのもので、遺伝性があると考えられています。
何らかの症状がある場合、めまい、立ちくらみ、頭痛、頭重感、耳鳴り、肩こり、不眠、倦怠感、疲れやすい、寝起きが悪い、動悸、便秘、食欲不振、下痢、胃もたれ、胸やけなどさまざまな不快症状を訴えることがあります。
・起立性低血圧
横になった状態から急に立ち上がったり、長時間立ち続けているときに血圧が下がって立ちくらみやめまいなどを起こすもので、体位性低血圧とも言います。普段、血圧が低くない場合でも、起き上がったときに、最大血圧が20mmHg以上下がるのが起立性低血圧の特徴です。血圧を調節する自律神経のはたらきがアンバランスになるために起こるとされています。起立性低血圧は、気を失いやすい他、暑さに弱い、下痢をしやすいなどの症状もみられます。
・二次性低血圧
低血圧を招く何らかの病気があるもので、。原因がはっきりしているのが特徴です。
血圧が低くなる病気は、循環器や内分泌の病気など様々です。急激に低血圧になるものと、慢性的に低血圧が続くものがあります。
・急激に低血圧になるものとして、…心筋梗塞、うっ血性心不全など、または、急性出血、やけど、激しい下痢・嘔吐、腸閉塞、急性中毒などがあげられます。
・慢性低血圧になるものとして、がん、慢性伝染病(肺結核など)、貧血、白血病、甲状腺機能低下、肝硬変などがあげられます。
3.治療はできるの?
検査をして、低血圧以外に特別な異常がなければ、不快症状を取り除く治療をするだけで、そのほかの特別な治療は行われないケースが多いです。それでも、不快症状に悩まされるときには血圧を上げる薬を使うこともありますが、必ずしも不快症状が改善されるとは限りません。
また、原因がはっきりとわかっている場合は、その原因を取り除く治療が行われます。
4.低血圧と貧血の相違点
低血圧と貧血は、立ちくらみやめまいなどの症状が似ているので混同されがちですが、実は別のものです。
低血圧とは、血液循環が円滑に行われず、脳や体の末端への血流が悪くなった結果、めまいや立ちくらみを起こすものです
一方、貧血とは、ある一定量の血液中に含まれる赤血球、またはヘモグロビンが正常値以下(男性1dl中12g以下、女性10g以下)に減少した状態のことです。
その原因は主に、鉄が不足したために、ヘモグロビンができず、赤血球が赤血球としての役割を果たせなくなった結果、めまいや立ちくらみを起こすものです。
違いを調べるには血液検査をすれば一目瞭然です。それぞれ対処法が違うので、もし、まぎらわしいと感じる症状があるのなら、血液検査を受けてみましょう。
指圧・マッサージは、原因がはっきりしていない本態性低血圧や規律性低血圧に対しての施術が効果的です。さまざまな不定愁訴に対して一つでも取り除くことで、日常の生活に少しでも支障のない明るい日々を過ごしたいですね。