高血圧
血圧を送る圧力が高まり、血管が傷んでしまう病気です。
血圧(心臓から血液が送り出される際、動脈の壁に加えられる圧力)が正常値より高い状態を高血圧といいます。水圧が高いとホースが傷むのと同様、血圧が高いと血管が傷んで、心臓や血管の病気の原因となります。
2000年に出された日本高血圧学会の治療方針により、病気を予防する観点から正常血圧の判断基準血は以前より厳しくなっています。
高血圧は腎臓や内分泌の病気などが原因で起こるケース(二次性高血圧)もありますが、9割以上が原因は特定できていませんが、肥満や食事、遺伝などの因子が関わり合って血圧が上がるものです(本態性高血圧)。
高血圧は、そのまま放置しておくと、血管の破綻や動脈硬化が密かに進行します。
高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」といわれる通り、これといった自覚症状はありません。ただし、後頭部の痛みや耳鳴り、のぼせ、肩こり、鼻血などの症状がみられるケースもあります。
自覚症状がないため、「少しくらい血圧が高くても大丈夫」と放っておく人もいますが、高血圧が一因となって、体に次のような影響を及ぼします。
・動脈硬化の促進
傷ついた血管にコレステロールが付着し、内腔が狭くなって血流が悪くなったり、血の塊(血栓)ができる。すると、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞が起こったり、高血圧性網膜症、腎機能低下、腎不全、下肢の動脈硬化がゆっくり進行。
・血管の破綻
高い血圧によって大動脈が急に裂ける。すると、脳出血、クモ膜下出血が突然、発症する。

高血圧は、肥満型の体質の人に多く見られます。
これは、血液量が増加し、心臓に負担をかけるなど肥満の人が必ずしも高血圧であるわけではありませんが、高血圧の発症率は肥満でない人の2〜3倍も高くなります。肥満の人が減量すると血圧が下がったという例は非常に多く、肥満の人が1kg減量すると、血圧は約2oHg下がるといわれます。肥満がなぜ高血圧を引き起こすかについては、次の通りです。
・循環血液が増え、心臓から血液を送り出す際に大きな圧力が必要となる。過食によって食塩の摂取量も増える。
・交感神経機能が亢進すると、血管が収縮し、血圧が上がる。
・インスリンに対して抵抗性が高まり、糖代謝が正常に行われなくなり、血圧を上昇させる。
肥満は高血圧だけでなく、高脂血症、糖尿病を合併しやすく、動脈硬化の進行を加速させる危険性が高まります。また、女性は更年期を迎えて女性ホルモンの分泌が衰えると、太りやすくなるとともに、臓器を保護する機能も弱まるため、動脈硬化の発症率が高くなります。

高血圧の方は、日常の規則正しい食生活と運動が必要となります。
塩分の過剰摂取は、降圧剤の効能を減少させてしまう作用があります。一日の摂取量を5グラム程度に抑えましょう。
また、運動も重要です。
息がはずむ程度の運動を継続しましょう。
適度な運動を続けると、次のような効果があります。
・肥満を解消することで、血圧が下がり、動脈硬化を予防。
・交感神経の緊張が緩和され、血管が拡張し、血圧が下がる。
・体液量が減り、血圧を低下させる物質が増える。
・ストレスを解消する。

日常生活において注意したいことは次の通りです。
・便秘を予防し、急激な温度変化を避けること
・血圧の急激な上昇を防ぐことが重要で、とくに冬場は、冷えた脱衣場や浴室、トイレなどで高血圧のお年寄りが倒れるといった事故が起こりやすいので注意してください。
健康診断などで高血圧が見つかったときは、早めに病院を訪ねましょう。
指圧・マッサージは、高血圧に対しても有効で、一時的に血圧を下げる作用があります。継続した治療をお勧めします。