更年期障害
更年期を迎えると「これで老化の一途をたどる」とか「もう、女性でなくなってしまう」などと悲しむ女性もいますが、更年期は卵巣の働きが定年退職を迎えるだけで、子どもは生めないけれど女は女。
女性の体には40種類以上のホルモンが働いており、心身がバランスよく機能するための潤滑油の働きをしています。ホルモンを分泌する器官を「内分泌腺」といい、卵巣や下垂体、副腎、甲状腺、膵臓などがあります。
女性のライフサイクルはホルモンの変化によって、小児期、思春期、成熟期、更年期、高年期(老年期)の5つに分けられます。
30代後半〜40代前半になると、卵巣機能が徐々に低下し始め、50歳前後に「閉経」を迎えます。この閉経をはさんだ前後10年を「更年期」といい、女性ホルモンの分泌量が急激に減少するために、月経異常やのぼせなど、さまざまな症状が出ます。この中で日常生活にさしつかえるようなものを「更年期障害」といいます。でも、更年期を迎えたからといって、日常生活に支障をきたすほどの強い症状がすべての女性に起こるわけではありません。
さて、更年期になると、なぜ色々な症状が出るのでしょうか?
閉経が近くなって「エストロゲン(卵巣から分泌される女性ホルモン)」の分泌量が急激に減少すると、エストロゲンを以前のように分泌させようと、下垂体から「卵胞刺激ホルモン(エストロゲンの分泌を促すホルモン)」がたくさん分泌されます。この2つのホルモンのバランスが乱れることによって自律神経のバランスも崩れやすくなり「自律神経失調症」が起こるのです。
自律神経の中枢が下垂体のすぐ近くにあるため、自律神経が影響を受けてしまうと考えられています。自律神経は私たちの意思で働きを調節できない神経で、心臓や胃腸、血管をはじめ全身の機能をコントロールしていますので、自律神経が不調になれば、全身にさまざまな症状が出てきます。
とくに多いのが、突然、カーッとのぼせて汗が出て、顔や胸が熱くほてり、動悸がしたり脈が早まるといった症状です。しばらくするとおさまりますが、症状がおさまったかと思うと、次々に違った症状が出ることもあります。
いろいろな自覚症状に悩まされ、病院で検査を受けても原因となる病気は見つかりません。また、症状は一定せず、症状の出方にも波があります。これを「不定愁訴」といい、更年期の症状の大きな特徴といえます。
通常、体がホルモンの変化になじむに従って、自律神経も落ち着いてくるため、これらの症状は次第におさまりますが、症状が強い場合などは症状に応じて必要な治療を行います。
指圧・マッサージは、更年期障害により引き起こされる様々な症状に効果をあらわします。ホルモンのバランス、ならびに、自律神経のバランスを整える治療を試みます。定期的な施術をお勧めします。