腰痛
2本足による直立歩行―それはヒトがヒトであることを示す進化の賜物です。
しかし、その代償としてヒトの腰は、上半身の重みをすべて受けるという負担を負うことになりました。
また、ヒトは利便性を追求する生き物です。
車の運転、パソコンでのデスクワークが普及した現代社会においては、「立って歩く時間が少ない」ことこそが腰痛の原因になっているとも考えられます。
背骨(脊柱(せきちゅう))は、椎骨(ついこつ)という小さな骨が積み重なってS字カーブを描いた構造になっています。腰痛の原因となる腰の部分は、腰椎(ようつい)といい、5個の椎骨からなります。
腰痛をもたらす疾患の多くは、椎骨を連結する椎間板や椎間関節の変性、椎骨の変形、あるいは周辺の筋肉が傷つくことによるものです。
腰痛をもたらす疾患には多くの種類と名称があります。
特有の症状もなく、椎間板(ついかんばん)の変性や骨の変形がみられない腰痛は「腰痛症」といいますが、ここでは、明らかな症状あるいは椎間板や骨の変化を有し、かつ私たちにも身近な疾患をご紹介します。

1.腰部脊柱管狭窄症
老化により骨棘(こっきょく)が形成され、変形したり、椎骨がずれたりすると、神経を通している脊柱管が狭くなり、腰部脊柱管狭窄症という状態をもたらします。
高齢者の腰痛の原因は、この脊柱管の狭窄による場合が多いようです。

2.急性腰痛症(ぎっくり腰)
ぎっくり腰は、重いものを持ち上げる、腰をひねるといった急な動作によって、腰部に急激な痛みを感じ動けなくなるものです。
腰椎の椎間関節や椎間板に無理な力が加わり、組織が傷ついて痛みを起こすもので、直後は安静が何よりの治療法となります。

3.腰椎椎間板ヘルニア
椎間板のクッション機能が低下したところへ、急性・慢性の負担が腰にかかることで線維輪に亀裂が入り、内部の髄核が裂け目から飛び出したものです。ヘルニアによって足に向かう神経根や馬尾が圧迫されるため、急激な腰の痛みや片方の足にしびれや痛みが起こるのが特徴です。
椎間板の老化は20代から始まり、20〜40代に多く発症します。

4.変形性脊椎症(腰部脊椎症)
加齢により椎間板も老化します。弾力がなくなり、本来のクッション作用が失われると、椎間関節や周囲の組織にも影響が及ぶのです。
変性により、椎体のふちや椎間関節に負荷がかかり、やがて骨棘を形成します。この骨棘が神経を圧迫することで、さまざまな症状を起こすのです。

このほかにも、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を含む骨折、細菌感染による炎症、癌などの腫瘍の転移、腎臓などの腹部内臓の異常、婦人科疾患、ストレスなどが原因で腰痛になることもあります。
腰痛の原因によって、施術部位や強度が異なってまいりますので、お受けになる際は、その症状、経過などをなるべく詳しくお話ください。