五十肩
四十肩・五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」という疾患群のことで、肩関節の周囲に起こる炎症のことです。
私たちの肩関節はとても広い範囲を動かせるようになっていますが、それだけ構造は複雑です。肩関節は肩甲骨と上腕骨が接続していて、周囲には多くの筋肉や腱(筋肉が骨に付着する部分)、関節をスムーズに動かすための「滑液包」などがあります。そのため、炎症が起こりやすい部分といえます。中高年に多く起こりますが、原因は明らかにされていません。

1.一般的な肩こりと五十肩の相違点
筋肉疲労と関節の炎症との違いです
肩こりは悪い姿勢や緊張などによって肩や首の筋肉が疲労し、血液の循環が悪くなって、肩に痛みや張り、だるさが発生するものです。一方、四十肩・五十肩は、おもに次の3つのケースで発症します。
・腕の筋肉の先端にある腱の炎症(上腕二頭筋の腱炎)。
・上腕骨頭を取り巻く幅広い筋腱組織「腱板」が損傷、または断裂を起こした場合。
・骨と腱板の間にある「肩峰下滑液包」が炎症を起こしたり(肩峰下滑液包炎)、石灰がたまった(石灰沈着)場合。

2.どんな人がなりやすいの?
男女差やなりやすいタイプはありません
四十肩・五十肩は、40代以降の人に起こりやすいという点以外、男女差や運動習慣などによる発症頻度の違いはありません。利き腕に起こりやすいということもありません。
ただし、長い期間、野球などのスポーツや仕事によって肩関節(腱など)を酷使し、過去に関節を傷めたことのある人は、いったん、四十肩・五十肩にかかると治りにくい傾向があります。

3.どんな症状が出るの?
腕をねじる動作などがさまたげられます
四十肩・五十肩になると、腕をねじったり上げ下げすると肩に痛みが起こり、思うように動かせなくなります。そのため、シャツを着る、髪を結う、帯を結ぶなどの動作がしづらくなります。
とくに関節内や滑液包に石灰が沈着している場合、激しい痛みが起こります。
また、肩の背中側を手で押してもあまり痛くありませんが、肩の胸側を押すと強い痛みを感じるのが特徴です。

4.四十肩・五十肩かどうかの判断法は?
さまざまな腕の動作ができるかで判断します。
四十肩・五十肩になると、肩関節の可動域(動かせる範囲)がかなり制限されます。整形外科や治療院では、腕を上げる、横に開く、後ろにまわすなどのさまざまな動作を行ってもらい、四十肩・五十肩かどうかを判断します。痛みを感じたり、スムーズにできない場合、四十肩・五十肩が疑われます。

5.四十肩・五十肩は放っておいてもいいの?
四十肩・五十肩の多くは、放っておいても半年から1年で自然に治ります。しかしその期間、痛みや「いつ治るか」などの不安に悩まされる人も少なくありません。
指圧・マッサージは、四十肩・五十肩に大変有効です。何もせずに放っておくよりも、積極的に治療を受けることにより、痛みに対しても間接の可動域に対してもより早い治癒が期待できます。